あれからもう一ヶ月が経とうとしている。

数年ぶりに一晩一緒にいられてすごく楽しかった。昔話から今の話までたくさん話をした。お金の話もしたしお互いの家族の話もした。ぴったりくっついて眠ったら、途中で目を覚まさずに眠ることができた。朝カーテンを開けたら昨日は見えなかった富士山がとてもキレイに見えていて、生きていればたまにはこんな良いことがあるんだなあなんて思った。黙って新聞を読んだりニュースを観たりしているのは貴重で、普段はこんなにゆっくりすることなんてないだろうなあと、時間を割いてもらったことにちょっとだけ罪悪感を感じたりもした。

お昼ちょっと前にチェックアウトして、部屋から見えた豪華なマンションを近くまで見に行ったり、新しくなった東京駅見物をして、丸の内界隈を散歩してランチを食べたところでタイムアウト。荷物を預けていたホテルまで戻ってバイバイかなと思ったら羽田まで付き合ってくれた。着いたらすぐに帰りのバスがあったので一緒にバス停に並んでバスが来るまでくだらないことをひたすら話してしんみりならないようにした。バスが見えなくなるまで見送ってから、すぐそばの喫煙所で煙草に火を点けたところでおっさんからメールが届いた。私が言うべきことを先に言われて、ふがいないやらうれしいやらでちょっと泣いてしまったけど、会いに来てよかったなと思わせてくれたので心はひたひたに満たされて帰ることができた。

昔とはずいぶんお互いのスタンスも変わってしまったけど、やっぱりおっさんといると居心地が良いし幸せで、こういう形で誰かに必要とされていることに満足するのは間違ってるけど、おっさんが笑って迎えてくれる限り、私はおっさんのために精いっぱい笑顔を振りまいていようと思った。