ぼくは悪党になりたい/笹生陽子

ぼくは悪党になりたい

ぼくは悪党になりたい

高校生である"ぼく"の物語。家族は父親がいなくて母親は自由奔放、タネ違いの弟ひとり。"ぼく"は母親の変わりに家事をし弟の面倒をみながら適当に高校生をやっている。母親は未婚で"ぼく"を産んだせいで父親が誰かは知らないが、ある日突然目の前に現れる、というありがちなパターン。だけどテンポよく進んでいくところとか、一章の終わりがドラマっぽく次の章を予想させる感じは軽快で悪くない。半分まで読んだけどまだ悪党になる素振りすら見せないのでこれからどうなるのかなーと。こういう話は気持ちが重くならないからいいな。

この主人公のように、周りと上手くやりながらも自分の世界観を持ってる子がすき。他人に頼らない癖がついてしまって将来付き合った女の子はちょっと寂しい気持ちになっちゃうだろうけどね。

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めずらしく二日で読了。後半すぐに悪党になっていくのだが、オチがやっぱり子供だなあという感じで微笑ましかった。この少年ほどに特殊な環境で育ったわけではないけれど、思春期特有の甘酸っぱい思いやどこにもぶつけようのない不満や葛藤をひさしぶりに思い出して懐かしい気持ち。