銀座の風鈴チューリップ?


11時半待ち合わせで私は10分前に着き、おっさんは5分遅れ。いつもなら逆でおそらく初だ。電車から降りてきたおっさんの方に歩いて行き、こっちを見て目が合ったなと思ったけど気づいてくれなくて、それくらい私は変わっちゃったんだなあと。早速服装と髪の毛に「かっこええやんか」ってコメント。ますます不釣り合いな私たちは電車で隣り同士に座って近況を語り合う。

目的は特になく、丸の内の適当な店で食事をし、銀座のメガネ屋に付き合ってもらって修理とフレーム選びのあいだ1時間くらい待たせ、近くのカフェに入り喉を潤してから、懐かしの東京国際フォーラムを通ってから電車に乗った。

再会してからずっと相変わらずおっさんは優しくてそれなのに私はできなくてお別れの駅が近づくにつれ申し訳なさでいっぱいになって適当な会話でごまかしたけど涙がちょっと出て気づかれないように慌てて指先で拭った。

「ありがとう。またね」と言い私が先に降りて見送る。振り返って手をふってくれる。姿が見えなくなって私は従姉妹が待つ家へ向かう。落ち着かせるためにロータリーでタバコを一本吸ってゆっくり歩いた。ヤツに買って帰ろうと思ってたTシャツ屋に向かったがあいにく定休日らしくシャッターが閉まっていた。残念な反面なんだかホッとした。

家に着き入れ違いで従妹は近所のクリーニング屋へ。ひとりになったら一気に涙が出てきて帰ってきたら面倒なことになるのでトイレにこもってひたすら泣いた。お礼のメールを送って泣いて、すぐに返事があってまた泣いて。ひとしきり泣いてからトイレを出たけど腫れた目も鼻声もごまかせなかったと思う。従妹はなにも言わなかったけど。

私はすごく残酷なことをした。言わなくていいこと、しなくていいことをあえて選んで知らしめた。大好きですごく大切な人にそういう風にしかできなかった自分をなんて傲慢なヤツなんだろうと思う。