桃の節句の晴れた日に散る

本日17時半、訃報を受け取った。みんな口を揃えて「あの人は死なないね!」なんて言うくらい元気な人が突然この世を去った。朝倒れてそのまま逝ってしまったようだ。最後まで潔くてあの方らしいけど、すごく仲の良かった奥さんの心中を思うと、ちょっと早すぎでしょうと言いたくなる。

ちょうど14年前、就職難で何社も落ちて行き場のなかった私を拾ってくれた命の恩人。うちの学校からは4名受けて、一番成績が悪かった私を採用してくれた。理由は一番後ろの席でニコニコ笑っていたから、ということだった。

退職したのはいつだったかもう忘れてしまったけど、享年76歳ということはおそらく10年ほど前か。考えてみるとさほど長く一緒に働かせてもらったわけではないのに、何かといつも気にかけてくれて、一時は本気でお見合い話を持ってきてくれたりもした。高血圧で糖尿病も患っていて、しょっちゅう入院していたけど総体的には元気で、3年ほど前からは老人介護施設でアルバイトを始めた。「老老介護だよ」だの「ボケてずっと同じことばかり話す人がいてうるさいんだよ!」と言ってたっけ。大きな声で元気にハキハキ話す人だった。退職してからも福岡に来ることがあれば事務所に寄って後輩連中と飲み歩くし、自分が退職してから入社した後輩とも仲良く電話で話をしたり一緒に飲みに行ったりもしてて、口は悪いけど社外の人からも「○○さんは元気かな?」とよく聞かれるほどに、多くの人に愛されていた人だった。

今年の年賀状もいつも通り長文で、世の中をバッサリ斬っていたから、あーよかったな、まだ元気だな、と思っていた。豊前まで遊びに行こうと思っていたのに数年が過ぎ、初めての訪問が葬儀なんて。私の花嫁姿を楽しみにしててくれたのに、見せることができなかったのは本当に申し訳ない。

きっと今頃空から下界を見下ろして自分の亡骸を見ながら、焼酎のお湯割りを飲んでるんじゃないかな。通夜に来てくれる人の面々に「遠いところからわざわざすまんねぇ。昨日焼酎を飲んで気持ちよくなって布団に横になったら、そのままお迎えが来ちゃったよ!ガハハ!」なんて話し掛けてるだろうな。

私は明日お別れに行かせてもらえることになった。ありがたいことだ。存分に泣いて最後は笑顔でお別れしよう。

あなたとの約束"和顔愛語"は一生忘れませんよ、末永さん。