あ、七夕だ。いまは大雨だけど明日の夜はほんの少しでいいから私に天の川を見せてくれまいか。

先々週の今頃は高円寺のあの家で寝ていたんだな。昭和レトロな部屋だったけど、南口からほど近く、お風呂場も広くて快適に過ごさせてもらった。ひとりで高円寺の商店街をふらふらと歩きながら、ヤツのことを思い出したり、おっさんと行った居酒屋を見てしんみりした。最後の最後にお気に入りのタコス屋へ行き、思い残すことなく好きなものを食べた。2階の席から商店街を見下ろしてため息ばかりついていた気がする。もう従妹と一緒にこの街を歩くことはないかもなあと思うと淋しかったし、このタコス屋にも来ることがないかもしれないと思うととても残念だった。従妹のおかげで、いつか東京に住むことがあれば高円寺に住みたいと心から思うほど大好きな街になった。ありがとう。

数年ぶりに会った友達には有楽町のガード下のタイ料理屋へ連れてってもらった。頭の上をうるさいくらい電車が通るし、タイとは似つかわしくないポップな音楽が大音量で流れていたので、会話をするのも一苦労だったけど、安くて美味しいタイ料理を食べながら震災や復興支援やマラソンや旅の話が出来て楽しかった。会社はたいへんそうだけど、毎日楽しく暮らしていたのでひと安心。

おっさんとも会った。神田で蕎麦を食べ、少しだけ買い物に付き合ってもらって、もしかしたら最後かもしれないなあと思ってセックスもした。2年以上ぶりのことでふたりとも笑いが止まらなくていつまでもケタケタと笑っていた。濡れた体を拭いてくれたり、自然と腕を広げて寝る場所を作ってくれるところとか、以前と変わってなくてうれしかった。テレビを観たり年金の話をしたり昼寝をしたり、ほんの数時間だけだったけど、懐かしく幸せな時間を過ごさせてもらった。仕事の話をしている時に「こんな歳になっても誰かの役に立てることがうれしい」と言ってたのを聞いて、もしかしたら私に対してもそんな気持ちなのかもしれないなあとふと思った。私の一存でおっさんを振り回してしまってるんだから、そんな気持ちでもなきゃやってられないよね。高円寺で夜ごはんを食べて改札でお別れした。何度も何度も振り返って大きく手を振って帰ってく姿は相変わらずで、見送りながら、愛や恋なんて遠くに行ってしまっても、きちんとこちらを向いてくれる人がいるのは心強いなと思った。また会う日まで元気でね。

福岡に戻ってからずっとぽっかり穴が開いたような気分で毎日過ごしている。また電車が苦手になってるから朝の通勤が不安でしょうがないけど、乗り越えないとどうしようもないのでがんばる。腑に落ちないことがあったりもして気持ちはなかなか浮上しないけど、一方では私のことを気にかけてくれる友達がいることもわかったし、人生悪いことばかりではない。とにかく日々歩いていかなければ。切れてしまったのであろう糸のことばかり考えていても仕方ないので、少しでも上を向けるように忘れる努力をする。